※この記事は過去別媒体に投稿した記事をリライトしたものです。
PDBでもキャラクター診断サイトでもレオリオはESFJということになっているが、僕は違うと思う。レオリオのタイプを考えてみよう。

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このキャラクターを考察するうえで重要となるキーワードは金である。レオリオはある出来事がきっかけで金に非常に強い関心を持つようになった。詳細は後述するが、ハンターになる動機も金が絡んでいる。ヨークシンシティ編で巧みに品物を値切ったり、条件競売で闇側の人間をおびき寄せるため布石を打つなど、商才もある模様である。


貨幣が大きな意味や価値を持ち、それが世界をコントロールしている。やや乱暴な意訳かもしれないが、この考え方を資本主義とみなすことにそう違和感はないと思う。そしてこれは外向的思考機能に属する概念である、というのが僕のMBTIの応用的活用の一つ。前記事で心理機能は近似概念を何でも放り込めるバケツのようなものと表現したが、各心理機能(ここでは「覗こう」での説明文を参照)のキーワード群から考えて最も「金」に近似している機能は外向的思考機能だろう。「覗こう」の外向的思考機能の説明文では「金」「資本」という言葉は一度も使われていない。せいぜい「自他共に”利益”をもたらし」くらいだ。その利益という抽象概念を現実的な存在に落とし込んだ一つの例が「金」「資本」というわけである(まあ「賞与」という言葉は使われてるんだけど)。
本質志向の人は抽象度を落とす表現を好まないかもしれないが、金に動機づけられる人間は現実の其処此処に存在の確認ができるのだし、自分としては結構有効な判断基準じゃないかなと思っている。これはもちろんその他の判断機能を優位とするTP系やFJ系が金を判断基準としない、ということを言っているのではない。彼らだってもちろん金のことは意識するが、意思決定や動機づけの観点においてそれの優先順位があまり高くないということだ。違う言い方をすると、金よりも重要な判断基準があるということである。
またレオリオは(特に市場に対して)情報通という面もある。サザンピースの競売ではゴンとキルアの案内役を務めた。また高機能な携帯電話を知っており2人に購入を勧めた。新聞を読んでいるシーンもあり、ハンター試験で殺し屋のジョネスを知っていたのもレオリオだった。「ニュース」にアンテナを張っているのも外向的思考機能の要素であると思う。
よってレオリオは外向的思考機能を判断機能として持つタイプ、すなわちTJかFPである、という事が言える。
外向的思考機能が作用しているシーンだけ切り取るとTJだと思ってしまうかもしれないが、このキャラクターが感情的になることに躊躇しないパーソナリティであることは、漫画を一読すればすぐにわかるだろう。冷静になっているシーンの方が少ないくらいである。しかしながら感情的になりやすいという理由でFにしてしまうのも少し浅慮のように思う。言うまでもなくTだって感情的になることぐらいはあるだろう。
迷うところではあるが、レオリオはFであると思われる。決め手になったシーンは、ハンター試験会場にたどり着く前の、キリコ(魔獣)との戦闘。レオリオはキリコに傷つけられた人間を看病する。実はこの人間の正体はキリコで、一連の戦闘はハンター試験の一環だと種明かしをする。
その時、キリコはレオリオのことを以下のように評価した。

「そしてなにより」とある。応急処置の的確さよりも励ましの言葉をかけるF的要素の方が印象に残ったのだろう。これはF機能がレオリオのストレングスとして働いていると考えることができる。よってレオリオはF、先ほどの資本主義の考察を合わせれば、外向的思考機能を持つF型となり、FPとなる(ただよく見るとレオリオはF面の評価に気恥ずかしさを感じており、ここはT的と言えるかもしれない)。
あと僕のタイプはINFJだが、感覚的にレオリオが自分と同じFJだとはあまり思えない。ちなみにこの漫画で外向的感情機能が優位に働いていると思うキャラクターは、パクノダ、センリツ※、ウイング、ナックルである。


また、TFラインの判断がつきかねる場合、男性ならF型で女性ならT型である、ということが多いと思う。それぞれの性に期待される役割という意味のジェンダーロールという概念があるが、Tは男性の、Fには女性のそれが課せられる。男性Fと女性Tは社会化にあたり逆の判断機能の活用が余儀なくされ、それがストレスになったり、適切な自己理解が困難になったりするのではないだろうか。男性Tと女性Fはジェンダーロールに則ることに躊躇がなく、典型例になりやすい。よってTFラインのタイピングに迷うことが少ない。
外向/内向に関してだが、シンプルに外界に対し多くのリソースを割くのが外向型、内界に対してそうなるのが内向型として、レオリオが前者に当たるのにそう議論の余地はないように思われる。ここまでの説明でレオリオのタイプはExFPとなる。
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さて、いくつかレオリオのパーソナリティの特徴を挙げたが、実はいずれもこのキャラクターを語る上での重要な部分だと僕は考えていない。これらは枝葉でしかなく、核となるのは冒頭でも少し触れた、ハンター試験に臨む動機付けの部分である。
ここで主要キャラクターの4人それぞれのハンターを目指す動機を見てみる。
ゴン
「オレは親父が魅せられた仕事がどんなものかやってみたくなったんだ」
「オレの親父がハンターをやってるんだ。親父みたいなハンターになるのが目標だよ」
「ただカイトは自分のことみたく自慢げにとてもうれしそうに話してくれた。それを見て思ったんだ。オレも親父みたいなハンターになりたいって」
作中にあるゴンのセリフである。シンプルに父親に追随することがモチベーションである。これに表も裏もなく、4人の中では一番分かりやすいと思う。
キルア
「オレ?別にハンターになんかなりたくないよ。ものすごい難関だって言われてるから面白そうだと思っただけさ。でも拍子抜けだな」
「オレん家暗殺稼業なんだよね。家族ぜーんぶ。そん中でもオレすげー期待されているらしくてさー。でもさ、オレやなんだよね。人にレールしかれる人生ってやつ?」
「別になりたかったわけじゃないよ。ただなんとなく受けてみただけさ」
キルアはゲーム感覚でハンター試験に臨んでおり、他の3人のように強い熱意やこだわりがあるという訳ではない。実際(1回目の)ハンター試験は自ら反則をして失格となった(イルミのマインドコントロールの影響もあろうが)。家業を継ぐことへの反発心はあるが、そこまでシリアスに考えているわけでもなさそうである。
クラピカ
クラピカは賞金首狩り(ブラックリストハント)志望であり、同胞のクルタ族を皆殺しにし、緋の眼を奪った幻影旅団を捕まえるためにハンターになろうとしている。ハンターでなければ入手できない情報やできない行動があり、少しでも幻影旅団を捕まえられるようハンターを目指す。富豪の契約ハンターになればブラックマーケットの情報も引き出せ、奪われた緋の眼にも近づける。契約ハンターは小金目当ての飼い犬であり、誇り高いクラピカが嫌う存在でもあるが、クラピカは「私の誇りなど仲間の苦しみに比べれば意味のない」と言う。プライドを捨ててまで契約ハンターになろうとしていることから、そうとう強い意志を持ってハンターに目指していることが窺える。

4人の中では一番目的が具体的である。
レオリオ
そしてレオリオである。一見大雑把な人物に見えるかもしれないが、実はクラピカと同等のシリアスな動機でこの試験に臨んでおり、さらにクラピカ以上の複雑な心理作用が働いている。
まず、ハンター試験会場で船長からハンターを目指す動機を問われたとき、レオリオは以下のように答えた。


これを聞いたクラピカは「品性は金で買えないよ」と言い放ち、二人は決闘するまでに至ってしまう。ゴンの突飛な行動によって和解したが、少なくともクラピカは最初、レオリオの言葉を真に受けて、金の亡者だと判断したはずだ。
ところがマラソンでの試験中に、クラピカはレオリオに以下のように言った。
ハンターになりたいのは本当に金目当てか?違うな。ほんの数日のつきあいだがその位はわかる。確かにお前は態度は軽薄で頭も悪い。だが決して底が浅いとは思わない。金もうけだけが生きがいの人間は何人も見てきたがお前はそいつらとは違うよ。
ハンター試験会場を目指す道中で、クラピカはレオリオの評価を変えたのである。表面上は金金金と言ってはいるが、どうもそれだけの人間ではないらしい。そう思うようになったのだ。レオリオへの見方が変わった、と表現されているであろうシーンは一か所ある。それはレオリオとの決闘時、飛んできた木材に弾き飛ばされた船員が海に投げ落とされるシーン。

一目散に船員を助けに行くレオリオを見て、ハッとするクラピカ。実に意外な行動だと思ったのだろう。他にも、ドキドキ2択クイズで正解のない答えに本気で怒ったところや、先述のキリコの看病の部分などを見て、レオリオへの「金の亡者」という評価を払拭するに至ったのだと思う。
クラピカはレオリオにハンターを目指す真の動機を聞き出そうとするが、レオリオは頑なに自分の目的は金でしかないという。「人の命だって金次第」とまで言い放つレオリオに、クラピカはまたしても激昂する。クラピカの怒りにつられて、レオリオはつい口を滑らせてしまった。うっかり話してしまったことに真実が含まれていた。

決して治らない病気じゃなかった!!問題は法外な手術代さ!!オレは単純だからな、医者になろうと思ったぜ。ダチと同じ病気の子供を治して”金なんかいらねェ”ってそのコの親に言ってやるのがオレの夢だった。笑い話だぜ!!そんな医者になるためにはさらに見たこともねェ大金がいるそうだ!!わかったか!?金、金、金だ!!オレは金が欲しいんだよ。
レオリオは過去に友達を病気で失っていた。その時に金さえあれば友達を救うことができたが、金なんてなかったから、友達は死んだ。だから医者になって、友達と同じ病気の子供を治してやりたいと思ったけど、医者になるのにも金が必要だった……レオリオがハンターを目指すのはこういう背景があったのだ。
一読すると、レオリオは医者になるためにハンターを目指していると思うかもしれないが、実はそうではない。上述のセリフでレオリオは「夢だった」と言っており、レルート戦でも「これでも医者志望だったんでな」と言っている。過去形、つまりもう医者は目指していないのだ。金がないことへの無力感を二度も味わってしまい、夢を見る気力さえも失ってしまった。じゃあなぜハンターを目指しているのか、それはレオリオ自身が発する言葉の通り、金が欲しいからだ。しかしそれは大金持ちになって車や家を買ったりすることが目的なのではなく、己の始原の傷を癒すためだ。金がモノをいう資本主義に打ちのめされたレオリオは、金を手にすることにより今の自分の苦しみから解放されたいと思っている。その金を使ってどうしたいなどの具体的な使い道はない。医者になる夢はとうにあきらめている。ただただ金が欲しい。
NはSに比べて、過去に起こった出来事や、起こってもいない未来に囚われやすい。Sが一晩寝れば忘れることをNはいつまでも引っ張って、不意にそれらがフラッシュバックする。
レオリオは過去に囚われた人間であり、金を得ることでその囚われから逃れたいと思っている。自分を救うことが目的なのであり、なんだかそれはNFのマインドのように感じる。レオリオが語った夢「ダチと同じ病気の子供を治して”金なんかいらねェ”ってそのコの親に言ってやるのがオレの夢だった」にしても、結局のところ過去の無力感を味わった自分に対して発しているのだ。友達が病気になって死にそうになっている状況で、「金なんか要らねェ」と言って治してくれる医者が現れていれば、レオリオは無力感を味わわずに済んだのだから。
レオリオがハンターになる動機は金であり、それは本心であるが、所詮世の中は金なんだよと語るのは複雑な心理作用がある。金がなかったことによる無力感と絶望の反動によるものであり、偽悪的に資本主義を説くところにこのキャラクターの深みがある。
クラピカもまた過去に囚われるN型だ。そんなNに「ダルい生き方」と言うバショウはS的な感性を持っているといえるだろう。

レオリオの「夢を語った」というところもNF判定ポイントである。僕のリアルでの話になるが、職場に新しく配属された課長が自己紹介の時に、それを夢と言ったのか目標と言ったのか覚えていないが、「ここを世界一働きやすい職場にする」と言ったのを覚えている(日本一だったかも)。なんだか地に足がついていないような目標設定で、NFっぽいなと思った。
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以上、前半で説明したExFP判定と、後半でのNF判定により、レオリオはENFPである、というのが僕の結論となります。
クラピカはレオリオに動機を聞いた時、「本当の目的は金ではない」という返答を期待していたはずだ。しかし、レオリオが口にしたのは金でしかなかった。レオリオは本当に金だけが欲しくてハンターになろうとしていたのだ。金儲けだけが生きがいの人間を嫌うクラピカにとって、それは納得がいく答えだったのだろうか?レオリオの自己開示を受け、クラピカは何を思い、何を感じたのか。それを知るヒントは、小さい一コマに描かれたクラピカの表情にある。その内心を正確に表現するには、僕の文章力では手に余る。


本記事を書くにあたって下記サイトの考察を参考にしました。


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