「十二人の怒れる男」は1957年アメリカで公開された映画です。この映画は放送大学の科目「心理学概論」内の紹介で知るところとなりました。講師の森教授の虚心坦懐な紹介で興味を持ち、実際に観てみたところ大変面白い映画でした。この記事は登場人物十二人のタイピングを試みるものとなります。
映画の概要は、陪審員として選ばれた十二人が被告人の有罪/無罪の判決を下すまでの喧々諤々の議論を描いたものです。陪審制度により全員の票が一致しなければなりません。十二人はそれぞれ番号で呼ばれ、名前は明かされません。
一連の裁判が終わり、十二人は陪審員室に招かれます。被告人の生死を決める立場でありながら、今宵観戦する野球の話をする人間、株の引値を調べる人間とがおり、緊張感に欠いている。(劇中では描かれていませんが)裁判では犯行が被告人によるものだったと匂わせる多くの状況証拠・証言が提出されていました。少年の有罪が確定なのは話すまでもないとばかりの雰囲気の中、十二人の陪審員は挙手によって判決を出そうとします。満場一致で終了すると予想された状況で、ただ一人挙手に応じない人間の存在がこの映画のドラマの幕を開けます。
10「やれやれ。いつも一人いる…」
8番のタイピング
タイトルの「十二人」が示す通りこの映画は群像的で、明確に主人公と言える人物を挙げることには違和感が伴いますが、それでも8番を主役級として看做すことにはそう異論は起こらないでしょう。最初の挙手に唯一応じなかった人物です。本稿の考察はこの8番のタイピングを起点とすることにします。
タイピングするにあたり私が重要視している要素の一つとして「動機」があります。少年の有罪を示す状況証拠が多い中でなぜ8番は無罪を主張したのか。8番の台詞から読み解いてみます。
8「あの子はひどい人生を過ごした。スラムで生まれ9歳で母が死んだ。父親が服役中は1年半を施設で過ごした。不幸な子供だった。反抗的な少年になったのも、毎日1回誰かに頭を殴られたからだ。惨めな18年だった。少しは討論してやろう」
一読して分かる通り8番の被告人への目線は温情的なもので、情状酌量する立場をとっています。これはNF がよく取る態度ではないでしょうか。たとえ犯罪者であってもそれをするだけの事情があった、状況が彼や彼女をそうさせた のだと、性善説の立場をとるNFは多いでしょう。
付け加えればNFは他者の背景への想像力を欠いた人間を嫌うことが多い。こういうところは他のタイプから「甘さ」として映ることも少なくないように思います。
先に「なぜ8番は無罪を主張したのか」と述べましたが、よく8番の台詞を読み取ってみると少年が無罪であることに確信があるわけではないし、少年を100%信じている訳でもありません。
3「本気で無罪を?」 8「分からない」 10「君はやつの話を信じてる?」 8「多分信じていないね」
少年の無罪を信じていないのであれば、無罪を主張する理由としては少し弱い。私は以下の台詞からまた違った動機もあるように思います。
8「11人が有罪だ。私が賛成したら簡単に死刑が決まる」
8「気を変えろとは言わん。ただ人の生死を5分で決めて間違ったら?」
8「別に派手な意見はない。皆さんと同じだ。証言に従えば有罪かもしれない。私は6日間法廷で証言に耳を傾けた。確信に満ちた証言ばかりで妙な気がした。明白だろうか?私には多くの疑問がわいてきた。弁護人が徹底して反対尋問を行っていない。細部を見逃してる」
8番はこの裁判に疑問を抱いている。「疑問が残る状況であるにも関わらず、十分に話し合いをしないまま判断を下すこと」への抵抗感があるのではないでしょうか。私はここからP の性質である「判断の保留」 を見て取ります(反対に判断型のJは何かと判断を急ぎがちです)。
もう一点、8番は「可能性」 に言及しているシーンが複数あります。中にはかなり感情的になっているものもあります。先の引用からの続きです。
10「細部をほじくり返すとやぶ蛇になるからだ」 8「だが弁護士が無能だという事もあり得る 」 7「義理の兄がそうだ」 8「あの子の立場に立てば、弁護士を代えたい。命のかかった裁判なら、弁護士に検察の証人を打破してもらいたい。殺人の目撃者と称する証人は一人だけ。後は物音を聞いた証人と多くの状況証拠だ。もし検察側のこの2人の証人が間違っていたら?」 12「どういう意味だ?間違うって?」 8「あり得る よ」 12「証人は宣誓している」 8「人間なら間違いはあり得る 」
4「さてナイフは?ポケットから落としたそうだ。11時半から3時10分の間に。その後二度と見なかったと。彼は映画に行かなかったと思う。少年の姿は誰も見てないし彼は題名も覚えていない。実際はこうだ、彼は家にいてまた父と争い、父を刺し12時10分家を出た。ナイフの指紋さえぬぐった。いいかね、このナイフを少年が落とし誰かが道で拾い、少年の父を刺しに行ったと?」 8「可能性はある と思う。似たナイフで他人が刺した」 4「よく見てくれ。珍しいナイフだ。店の主人さえ初めて見たと言った。それでも偶然があり得ると?」 8「可能性はある 」
3「そのトリックで何が証明できる?10本あるのか?」 8「あるかも 」 3「あったら?そのナイフは世紀の発見か?」 12「全く同じナイフで他人が刺したと?」 7「まさかね!」 8「あり得る! 」
8「あり得る!」
可能性に賭けるのは心理機能で言えば外向的直観 の作用に値すると思います。外向的直観は可能性が高い事象よりむしろ可能性が低い事象に着目する ことが多いでしょう。
少年を擁護するウェットなヒューマニズムからNF、判断の保留からP、外向直観優位からNP、水面下に強い熱意を宿している様から内向型のタイプと考えます。よって8番はINFP です。
8番INFP。少年の有罪が確定的とも思える状況で、ただ一人無罪の可能性を追求する。
9番のタイピング
8番の隣に座った9番を見てみましょう。おそらく十二人の中で最も高齢の人物です。議論の途中8番の提案で自身を除く11人で投票し、11票すべてが有罪であれば8番も有罪に転向、しかし無罪が1票でもあれば議論は続ける、というルールで投票が実行されます。「guilty…guilty…guilty…」と有罪票が開票され続ける中、「…not guilty」と一枚だけ無罪票が在りました。それを投票したのがこの9番です。一番早く無罪側に転向しました。
9番がなぜ無罪に意見を変えたのか、その理由を話すシーンがあります。
9「この方が一人で反対された。無罪とは言わず確信がないと言った。勇気ある発言だ。そして誰かの支持にかけた。だから応じた。多分有罪だろうがもっと話を聞きたい」
実のところ9番は無罪だと考えを改めたわけではなく、未だに有罪だと考えている。しかしその自分の考えよりも他者の要望に応えることを優先 しました。ここから「外向的感情 > 内向的思考」の心的な力関係を見て取ることが可能です。
また、事件現場の階下の老人は、犯行があった際に少年の「殺してやる!」という声と体が倒れる音を聞いており、これが少年の有罪を示す証言となっていたのですが、音を聞いた瞬間はすぐ近くの高架鉄道が走行している最中であり、騒音の中で聞こえるはずがないということを8番は主張します。しかし仮に聞こえなかったとしたら老人は嘘をついていることになり、なぜわざわざそんなことをするのかが不明です。
この理由について9番は以下のように洞察します。
9「長い時間彼を観察していた。上着の袖がほころびていた。あんな服で法廷へ出てくるとはね。つまり破れ上着のお年寄りで証言台へのろのろ歩いた。左足を引きずってなんとかそれを隠そうとしてた。この人の気持ちはよく分かる。今まで静かに怯えながら生きてきた老人だ。人に認められることもなく新聞に名前も出ない。誰からも顧みられない。75年間誰からも意見を求められない。皆さん、こんな悲しいことはない。生涯に一度は注目されたい。自分の言葉を引用したらどんなにうれしいか。だから目立ちたくて…」 7「一度目立ちたくてウソをついたと?」 9「本人はウソのつもりはない。多分少年の言葉を聞いたと信じているのだ」 10「こんなタワ言初めてだ。よくもそんな作り話を」
9番の考えは他者自身が自覚していない領域まで考慮したもので、突飛なものだと言えると思います。孤独な人生を送った人間が注目欲しさにウソをついたというのは確かに動機として成立し得ますが、老人が本当にそんなことを考えていたのかは誰にもわかりません。
9番の判断は内向的直観 の作用が働いたものだと考えます。内向的直観は時空を超えて成立する性質――つまり普遍性※ ―― に着目する傾向があり、「今」「ここ」を無視した着想を得ることが多いと思います。現実性が伴わない考え(或いはイメージ)は感覚優位の人間からはなかなか理解されず、10番からはフィクション扱いされてしまう。他者からの同意を得られなかった9番は意気消沈してしまいます(ここにもフィードバックに敏感な外向的感情の性質が見て取れます)。
※コスモロジーや運命論とも親和性が高い。
しかし9番の発言はこの議論の空間に少なからず影響を与えている。7番の台詞からその余波が読み取れます。
7「みんなおかしいぜ、何やってるんだ。勝手に話を作ってさ、ああでもないこうでもないと好きにほざいてよ。あの老人はどうだ?ドアへ駆け寄り探人の15秒後、ガキが逃げるのを見た。あの証言もウソか?どうなんだよ。あれも老人が目立ちたくてウソ言ったか」
付け加えると、内向的直観が時と場所を選ばない傾向があるのに対し、内向的感覚は時と場所を限定させる傾向があり、なかなか折り合いがつきにくい力関係にあると思います。
内向直観と外向感情優位なところからNFJ、8番同様静かな印象を受けるところから内向型と判断。よって9番はINFJ 。
9番INFJ。8番の勇気を讃え一番早く無罪側に転向。
映画のエンディングの直前で、8番と9番は握手をした後に分かれます。INFPとINFJ、知覚型と判断型の違いはありますが、なかなか表層には表れない静かな熱意を持つ理想主義者であることは共通しています。何か感じ入るところがあったのでしょう。
4番のタイピング
株式仲介人で、一貫して冷静沈着な人物です。裁判中の証拠品や証言を重要視し、論理的な推論により少年の有罪を主張します。
少年が反社会的になったのは環境のせいだと擁護する8番に以下のように反論します。
4「的外れだ。少年は悪い環境の所産だが、それを論じても仕方ない。問題は有罪か無罪かなのだ。スラムが犯罪の温床なのは事実で、そこの子供たちが社会に脅威を与えているが」
背景を汲み取っても仕方ないと、感情的判断を排する様はロボットのようでもあり、十二人の中では一番論理型の人間のように思えます。タイピングは後述になりますが、同じ論理型かつ有罪派である3番や10番は明らかに感情に駆動されており、純粋に論理に従っているとは言い難い(もっともこの二人が感情的になっているのは被告人にそうさせる属性があったからではあるが)。
以下は証拠品である殺人に使われたナイフから少年の犯行を推論するシーンです。先に4番は論理型の人間であると述べましたが、ここでは少し違った観点から見てみたいと思います。
4「あのナイフは強力な証拠だね」 8「そうだ」 4「では事実を1つずつ詰めよう。1(One) 、少年は夜8時父親からビンタを食らい家を出た」 6「ビンタじゃない、ゲンコだよ。大違いだ」 4「とにかく殴られた後だ。2(Two) 、彼はまっすぐ近くの古物商へ行きナイフを買った。柄と刃に奇妙な彫刻のある飛び出しナイフで、店の主人も在庫は1本だけと言った。3(Three) 、8時45分彼は酒場の前で数人の友達と会った」 8「そうだ」 4「友達とは9時45分に別れた。彼らはその時ナイフを見た。4(Four) 、そして法廷で殺人の凶器がそのナイフだと確認した。5(Five) 、少年は10時ごろ帰宅、この辺から検事と少年の話は食い違う。少年は11時半に映画に行き、3時10分帰宅、父の死を知り逮捕される」 8「逮捕の刑事に階段から突き落とされた」 4「さてナイフは?ポケットから落としたそうだ。11時半から3時10分の間に。その後二度と見なかったと。彼は映画に行かなかったと思う。少年の姿は誰も見てないし彼は題名も覚えていない。実際はこうだ、彼は家にいてまた父と争い、父を刺し12時10分家を出た。ナイフの指紋さえぬぐった。いいかね、このナイフを少年が落とし誰かが道で拾い、少年の父を刺しに行ったと?」
正確な時間軸に沿って事実を枚挙 しています。これは内向的感覚 の作用を宿した振る舞いのように思います。順列に従うことと事実は内向感覚優位の人間にとって重要な概念でしょう。Ifの想像力が作り出すパラレル的な世界観には関心が薄く、たった一つの現実世界の住人です。地に足がついており、Tの作用が加わると堅牢な印象になります。
付け加えると、内向的感覚に呼応する外向的直観は連想の作用が効く分順列が出鱈目なものになりがちです。もっとも出鱈目のまま対応できる柔軟性も持ち合わせているし、見方を変えれば前者は融通が効かないとも言えます。一つ一つの点が内向感覚だとすれば、それらをつなぐ線が外向直観のイメージです。
また内向的直観は順列の順番そのものを変えたり、飛躍的な処理をすることがあります。
もう一点、4番はどこか8番の熱意を買っている様子がうかがえます。
3「どうだい、五分五分とはね、驚いたな。さっきはあの背の高い男がひどいことを言った。そりゃ俺は興奮しやすいが、やれ社会の復讐者だとか、サディストだとか言ってさ。俺を目の敵だ」 4「彼は熱心だ」
劇中の後半では8番から記憶力を試す挑戦を受けますが、それも真っ向から引き受けています。また先に引用したナイフは、ここは実際に映像を観てほしいところなので画像や台詞の引用はしませんが、ナイフはその独特のデザインから一本しかないオリジナルなものだと認識されていたのですが、実は8番は全く同じデザインのナイフを町の質屋で発見しており、それを皆に見せつけます。一同は騒然し、議論は白熱したものになります。おそらく4番の問い詰めがなければ8番はナイフを出すことはなかったでしょう。8番にとっていい意味で壁として立ちはだかったように思います。
私はここに活発化 の関係性を見出します(参照 )。この関係性は自分の不得手となる第3と第4の心理機能を、相手は得手である第1と第2の心理機能として有しており、弱点をカバーしあえる相補的な関係となっています。
内向感覚優位と論理型の気質からSTJ、8番INFPの活発化に当たるタイプはISTJ です。よって4番はこのタイプ。
4番ISTJ。論理的かつ手続き的な検証で被告人の有罪を主張。
相性論を語るにあたって………
なかなか厄介な観念だと思いますが、これについて語るだけで一つの記事が必要になりそうなので、詳細を述べるのは別の機会に譲りたいと思います。少しだけ書いておくと、これは恋愛の文脈にいともたやすく流用され、需要に応えようとする存在の影響もあり、表層的な人間理解を生む土壌になっていると思います。情報に踊らされて属性だけで人となりを判断する人間であふれかえっているならば、MBTIを一笑に付す立場をとるのも十分に理解できます。
本稿では活発化関係と衝突関係を取り扱います。この二つを取り上げているのは自分の経験上納得できるものであり、かつ心理機能の配置からなぜそのような関係になるのかが説明できるからです。
5番のタイピング
スラム街出身の労働者です。最初に自分の意見を求められたときパスを要求し、自信のなさが伺えます。曇った表情で俯いていることが多く、どことなく神経症傾向が見て取れるのはIJ 的。10番のスラム民への差別感情に反発しますが、属性にアイデンティティを置くのはどちらかといえばPよりJ。3番から謝罪を受けた時の感情のネガティブ反応が抑圧的※ なところでFJ(Tの場合歪な形で表出することが多く、FPならネガティブであってもストレートに表現)。N系の変人的な雰囲気も感じられないので消去法でS。よって5番はISFJ です。根拠薄目ですがこの人物にはこれくらいしかタイピング理由が見つけられませんでした。
5番ISFJ。スラム街で育った経験からナイフの扱い方の違和感を述べる。
※抑圧的というか、FJは顔は笑っているが目は笑っていないみたいな表出をすることがある。
1番のタイピング
中学の体育教師でフットボールのコーチです。陪審員長を務め議論をファシリテートします。着目するのは司会の自分を無視して強引に議論を進めようとする10番との諍いのシーン。ここで1番はかなり憤慨します。
10「かまわん。彼の考えを聞こう」 1「一度決めた方法は変えたくない」 10「子供みたいなこと言って!」 1「子供って?」 10「文字通り子供の事さ」 1「私のやり方に不満が?じゃあんたやれよ。私は黙ってるから」 10「熱くなるな。落ち着け」 1「あんたがあの席に着け」 10「こりゃ驚いたよ」 1「本気だ」 12「もうよせ。くだらんよ」 1「じゃあんたが」
「私のやり方に不満が?」から、おそらく自分の司会進行のフェアネス に自負があったのだと思います。公平さに厳格になるところはIJ 的です。IJの外向判断は若干頑固なところはあるにせよ、大抵は公平な立場に立脚したもので、採用している倫理のために我欲を殺していることも珍しくありません(EJはこの辺りのセーブが甘いです)。
8番の熱意に感化されたのか、自分の身分を話し始めるシーンがあります。心理学に興味を持っていれば「自己開示」という概念は耳にしたことはあるでしょう。ここの台詞はそれに当たるものだと思います。
1「すごい降りになったね。この前の大雨の時を思い出すよ。確か去年の11月だったかな。ゲームの途中土砂降りだ。うちは6対7で負けてたが、ちょうどタックルをかわして反撃に移ったところだ。あの時はスラッタリーという選手がいてね、すごいパワーがあった。あんな子が欲しい。言うのを忘れていたが私は高校のフットボール・コーチだ。とにかく、こっちの攻撃は好調で敵の布陣はバラバラだ。でも何しろ土砂降りの雨だ。すべてを洗い流す勢いだ。ほんとにひどかったよ。あの時はわめき散らしたもんだ」
試合の思い出を語る1番は穏やかではありますが、どこか充実感があふれた良い表情をしており、フットボールへ捧げる情熱が伝わってきます。聞き役の8番も満足げな表情をしています。ここでの両者の心理的満足度の高揚も活発化の関係と見做すことができそうです。1番もまたISTJ とタイピングできます。
1番ISTJ。フットボールのコーチに情熱を燃やす。
コーチング業という後続の育成の担い手となるのもIJ的なポジショニングのように思います。
2番のタイピング
銀行員です。8番が見つけた殺人に使われたナイフと全く同じナイフがあったことに、被告の罪状とは無関係の純粋な好奇心を見せました。
2「同じナイフがあったとは興味深い」 3「何が興味深いんだ?」 2「そう思っただけさ」
頭髪こそ禿げ上がっていますが、声が高く、少年のような天真爛漫さを感じます。2番は最初有罪の立場を取っていましたが、自分の意見を述べる際言葉につっかえており、被告を有罪と見做すことに抵抗感があるようにも見えます。ここは映像を観ないとニュアンスが伝わらないかもしれません。
2「その…言葉にするのは難しいんですが、でも有罪だと思う。明らかです。その逆は立証できなかった」 8「立証責任は検察側だけにある。被告人は黙秘権も保証されてる」 2「それは知ってる。ただ私はね…有罪だと思う。目撃者もいた」
以下は陪審員室で議論が始まる前のシーンです。どちらかと言えば被告には擁護的な立場であることが伺えます。
3「どうだね」 2「興味深い裁判でした」 3「俺は眠ってた」 2「陪審員は初めてでね」 3「俺は何度も務めたよ。弁護士がしゃべりまくって、いくら弁護したって無駄な努力さ」 2「でも権利がある」
以下は被告が言った(とされている)「殺してやる」という言葉が、本当に殺意を伴ったものだったのかを議論するシーン。
8「他にも話したいことがある。”殺してやる”は聞こえなかった」 10「聞こえたさ」 8「じゃ聞こえたとする。でもこんな言葉は日常使われてる。息子に”今度やったら殺すぞ”とか。でも別に殺すつもりはない」 3「待てよ。あの少年は”殺してやる”と大声でわめいた。あのガキの場合は本気で言った」 2「さあどうかな。半月前に職場の同僚と口論したが、その時叫んだ」
基本的にFは人好き をする性質があり、人権を尊重する立場を取ります。FJよりFPの方が無条件の肯定をすることが多いでしょう。FJはJの規範意識がある分ルール違反者には無条件とはいきません。Jは他人に厳しいところがあるのですね。
人権を尊重すると述べましたが、逆に言えばFはTの発達がない限り大抵の意見が「人を尊重しよう」に集約され、バリエーションに欠いたものになります。
被告の人権を尊重(「でも権利がある」)したところからF、「少年」の元型的イメージに合致するのはISFP 。よって2番はこのタイプ。これもまた根拠薄目ですが。
2番ISFP。証拠品の穴に純粋な好奇心を見せる。
7番のタイピング
一番タイピングに悩んだ人物です。セールスマンであり、ハットにストライプのジャケットという都会的なファッションをしています。雑談から今夜ナイター観戦に行くことを楽しみにしていることが分かります。ボディランゲージを駆使しながら軽口をたたく飄々とした様から最初はEP系のように思いました。ただ7番のこの裁判における態度をよく見据えてみると、その判断に疑問が生じてきました。
まず7番は自身の台詞から時間を気にしていることが分かります。
7「投票しよう。それで帰れるかもしれん」
7「その通りさ。誰が信じるものか。涙もろいおっかさんか?こんな時間だ、早くしな」
そう、7番の目的はナイター観戦に行くためこの裁判を早く切り上げることにあり、少年の罪状には関心がない。
また、議論の途中8番から有罪・無罪の立場を問われます。この時の状況は有罪派6人、無罪派6人で拮抗した状態。これまで7番は有罪派でしたが、以下のように述べました。
7「おれはもうガチャガチャ言うの疲れたんだ。面倒くさいから無罪に転向だ」
この状況下で無罪派に転向すれば7対5で自分が優勢の立場となります。つまり7番は形勢が有利な方へついた。 自分のこれまでの経験から、これはNTJ系 によく見られる行動様式だと思います。この後7番は11番から激しく詰問をされ、以下のようなやり取りをします。
7「待て。俺にそんな口がきけるのか?」 11「もちろんだとも。無罪に投票したければ無罪を確信してからにしろ。有罪なら有罪でいい。正しいと思う事をしろ」 7「こいつ」 11「どっちだ!」 7「言ったろ。無罪だよ」 11「なぜ」 7「…何もそんな…」 11「理由を言う義務がある」 7「有罪とは思えないから」
7番は理由を明確に答えることができない。それもそのはず、7番の判断は戦略的なものであって内実を伴ったものではないからです。ここに「外向的思考 > 内向的感情」の心的な力関係が見て取れます。形勢がよく見抜けるのは内向直観の大局的観点の作用が働いたものです。同じTJであってもSTJはずっと実存的な存在であり、俯瞰で見渡す上空飛翔的な視点は持っていないように思います。
形勢が有利な方につくNTJの戦略志向、3番と10番同様威圧的な振る舞いが多くみられますが、これはEJ的です。よって7番はENTJ です。
7番ENTJ。裁判を早く終わらせるため無罪派に転向。
白状すると、私は過去にExTPの人物から強い影響を受けており、7番をExTP――即ち独自の意見を持ち、批判精神と他者を気遣うバランス感覚を有していること――と看做すことに抵抗感がありました。だからといって無理やり別のタイプに当てはめたわけでないことを追記しておきます。
12番のタイピング
広告代理店に勤める人間です。7番同様都会的な雰囲気があり、冗談をよく言い社交的。以下の台詞からアイデアマンでもあるようです。
1「ではそこの方、私たちの意見に反対なさるのなら、その理由を話していただけないかな。それに反論したい」 12「今ちょっと思いついたんだが、我々が彼を納得させたらどうだろう?」
12「僕にちょっと名案がある。水晶玉でも覗いてみたら?」
ジョークではありますが、自分で「名案」と言うあたり自信家であることが伺えます。自尊心 の高さはEP 系の特徴でもあります。EPの自尊心は他者の否定を伴わない、自己に立脚した健全なものです(IPも自尊心は高いが、IPの場合は全能感 と呼んだ方が近い)。
とは言っても、EPは慢心や過信に由来するミスには注意を払うべきでしょう。謙虚になることが課題かもしれませんね。
議論が始まる前の雑談で以下のような台詞があります。
12「殺人事件でよかった。障害や窃盗じゃ退屈だからね」
人を食ったようなユーモアですが、こういう人間をオモチャにしたような 言動はNTP がやりがちです。こういうことをするからよく人から怒られます。
付け加えると、NTJの場合ナチュラルに倫理観を欠いた思想※ を持つことが多いです。これはNTが人間性を排斥する 傾向があるからだと考えます。この点を語るのはまた別の機会に譲るとしましょう。
※簒奪の傾向がある。
劇中の台詞回しから12番は発想の機転が効く知的な人間のようにも見えますが、有罪/無罪の判断を求められると途端に優柔不断になり、自分の判断をコロコロ変えます。
3「そんなイカサマ信じないぞ」 4「少年のナイフの使い方など断定できないね」 8「どう思う」 12「分からん」 3「なぜだ!」 12「わからん」
4「どう思う?あんたは?」 12「分からない。証拠が多く難しい事件で」 4「なぜ無罪に投票した」 12「証拠が複雑だから」 3「他の証拠は全部捨てて女性の証言だけでいい!」 12「私の投票は有罪に変える」
8「可能性は?」 3「あり得ない」 8「あなたは?」 12「無罪だ」
Pの「判断の保留」は確度の高い結論を出すためには――言い方を変えれば誤った判断をしないためには――非常に重要な態度ですが、ここは責任をもって判断を下さなければならない場面です。「判断の保留」が悪く働いていると言えます。煮え切らない態度は女々しささえ感じるところです。
自信家なところからEP、人間を弄ぶ描写からNTP、よって12番はENTP です。創作ではクレバーなキャラとして描かれがちなタイプですが、現実のENTPはこんなもんでしょう。
12番ENTP。スマートだが判断を求められると付和雷同する。
10番のタイピング
工場の経営者です。これまでは登場人物の概要を述べた後でタイピングする形をとってきましたが、ここでは最初にタイピングをしてしまいましょう。印象値だけで十分それができるからです。10番はESTJ です。10番は順番を無視して勝手に議論を進行させようとしたり、他人の発言を遮って自分の意見を述べることが多い。EJはこういったパワープレイ、ゴリ押し感が目立つことが少なくありません。
10「我々はやつに何の借りもない。公正な裁判も受けさせた。それだけでもやつは幸せさ。俺たち立派な大人が事実を聞いたんだ。それでもやつを信じろというのか?俺は長年ああいう連中と暮らしてよく分かってる。ウソつきなんだ」
「俺たち立派な大人」とありますが、こういった父性的な道徳観 はESTJ的です。
劇中の割と早い段階からそうですが、3番はスラム民へ差別感情を抱いてることがわかります。ここがこの人物の中核となるところです。なぜならこの差別感情から被告を有罪と見做しているからです。
10「わからず屋がそろっているな。あんな不良だぜ」
劇中の後半、無罪派が9人となり有罪派は劣勢に追い込まれます。10番は劣等機能である内向感情に駆動された結果、スラム民への剥き出しの差別感情が露呈します。ここが10番の運の尽きでした。一人、また一人と、あの軽薄な12番までもが席を立って10番に背を向け、「対話拒否」の意志を示します。
10「わかっておらんな。細かいことなんか何の意味もない。みんなもあの少年を見たろう。あのナイフや映画の作り話を信じるのか。連中は生まれつきウソつきだ。第一真実とは何か知らんのだ。しかも連中は殺人に理由などいらんのだ。おまけに大酒飲みでいつも酔っててな、ドブで死んでるんだ。それでも誰も気にしちゃいない。凶暴だ。どこへ行く。殺しなんか平気だ。いつもケンカばかりだ。人が殺されても気にせん。そりゃいい連中もいる、それは認める。でもまともな連中は例外だ。大部分は無能な奴らさ。どうした?みんな大きな間違いを犯してる。あのガキは嘘つきだ。…聞いてくれ、連中は悪いやつらだ。…どうした、俺が話してるのに。聞けよ。ああいうガキの事をあんたたち知らんのだ。実に危険なんだよ。あの連中はね。いいかい、つまり…頼む、聞いてくれ」
孤立した10番はここで完全にダウンします。ここをフィードバックに敏感な外向的感情と看做すことももちろん可能ですが、FJなら金八先生よろしくスラム民へ前向きな更生を求めてもいいでしょう。父性的な厳しさを優先したタイピングにしたいと思います。
10番ESTJ。スラム民への差別感情から被告の有罪を主張。
EJにとって自分の判断を変えることは敗北と同義なのかもしれません。
6番のタイピング
塗装工の労働者です。年長者への敬愛の精神があり、9番に暴言を吐いた3番に怒りを見せます。
3「じゃなぜウソを」 9「目立つためだ」 3「気の利いたこと言いやがる。新聞に投書でもしろ!」 6「そんな口はきくな。いくら何でも言いすぎだ。年寄りを尊敬しろ。またあんな口きいたら殴り倒してやる」
この台詞から敬う想いは相当なものだと伺えます。4番のタイピングで順列に従うことは内向感覚優位の人間にとって重要な概念と述べましたが、年功序列も同等のものだと言えます。
(とは言っていますが、こういう根拠に反例はいくらでも出せますし、こじつけと言えばこじつけです。SJが序列に従うというなら10番もそうなっていないとおかしいので)
6「無罪だと思ってる?」 8「可能性はある」 6「そいつは大きな思い違いだよ。時間の無駄だね」 8「君が被告だったら?」 6「俺は労働者だから考え事はボスに任せてる」
6番は自らの分際をよくわきまえています。身の丈に合った振る舞い、これもSJ的です(NJはエリート意識があり、自己認識と実際の身分に乖離があることが少なくない)。上長に従順なのはIJ的です。IJはリーダーシップを発揮するより、No.2や参謀の立場にいることが多いと思います。
3番に向けた怒気は強いものでしたが声を荒げるものではなく、自己をコントロールした上での表出のように思います。TFの判断がつきかねますが、8番との活発化が見られなかったところから消去法でFにしましょう。ISFJ です。
6番ISFJ。年長者に強い敬愛心を持つ。
11番のタイピング
移民の時計職人です。最初は有罪派でしたが、8番の主張の論理的妥当性を認め割と早い段階で無罪派に転向します。以下は9番の無罪票の存在が明らかになるシーンです。1番同様フェアネスが強く、IJは固い。
10「どういうこった」 7「一人増えやがった」 10「誰なんだ?知りたいな」 11「これは無記名投票で全員同意した。投票の秘密は守ろう」
以下は強引に話を進めようとする10番を諫めるシーン。
11「あなたは少し礼を失している。こんな争いのために集まったわけじゃない。我々には責任がある。これが実は民主主義の素晴らしいところだ。つまり何と言えばいいのか…通告だ。郵便で通告を受けるとみんながここへ集まって、全く知らない人間の有罪無罪を決める。この評決で私たちには損も得もない。この国が強い理由はここにある。だから個人的な感情は抑えた方がいい」
「非礼」に反応したこと、結束のために感情を抑えようとすること、どちらも外向的感情優位と看做せます。自分以外のもののために感情を抑えることは(I)FJにとっては容易いことです※ 。
※もっともこういう「態度」を強要するところがFJの嫌われるところでもある。
7番から差別的な発言を受けるシーンがあります。
5「疑問はないと思う?」 7「ないね」 11「失礼。”疑問”の意味がわかっているのかね?」 7「それどういうこと?あきれたね。すぐあれだ、移民のくせに俺たちに言葉を教えるってさ。生意気だよ」
11番はこれで閉口してしまいます。5番のタイピングでも述べましたが、Jは属性にアイデンティティを置きがちです。属性そのもので勝敗が決定してしまう場合、Jが状況を覆すのは難しい。
以下は7番のタイピングで引用した個所と重複しますが、7番が無罪に転向した際の台詞です。
11「確かに答えになっていない。あなたは最初みんなに同調して有罪に投票した。早く野球に行きたかったからだ。今度はうんざりしたから無罪に変えたって?」 7「まあ聞けよ」 11「あんた人の命をそんなに軽々しく扱えるのかね?」 7「待て。俺にそんな口がきけるのか?」 11「もちろんだとも。無罪に投票したければ無罪を確信してからにしろ。有罪なら有罪でいい。正しいと思う事をしろ」
先のやり取りを踏まえれば7番への鬱憤も背後にあったかもしれませんが、11番を駆り立てているのは義憤 でしょう。義憤に燃えがちなのもIJにはよくあることです。ただ、IJの義憤は公平な外向判断に基づいたものですが、身分の束縛から異なった立場を慮る余裕がないことが多く、視野狭窄な点は否めません(ex:公式の理論しか認めない、など)。EPが同程度の規範意識を持っていた場合リードされがちです。ただEPから批判されることはあっても、EPは客観的に見ておかしいことを述べているだけで、その人自身を否定しているわけではありません※ 。自己を振り返る場としてよく耳を傾けた方がよいと思います。
※EPは基本他者を尊重する立場をとる。
SN判定ですが、時計職人であるところからSとしましょう。Nにクラフト系の職人は厳しいです。11番もISFJ です。
11番ISFJ。民主主義の重要性を説く。
3番のタイピング
最後のタイピングです。一番最後まで有罪派として残り続けた人物です。恰幅がいい経営者で、大きい声で精力的に有罪派をリードします。
3番のキーワードは自身の息子の存在です。
3「近頃の子供はなっとらん。俺なんかおやじに敬語を使った。今そんな子供を見るかい?」 8「父親は軽く見られてる」 3「子供はいる?」 8「3人」 3「俺には一人。22歳だよ。9つの時ケンカから逃げた。それを見て胸がむかついた。言ってやった、お前を男に叩き直してやると。鍛えて男にした。16の時俺とケンカだ。俺のあごを殴りやがった。もう2年も会ってない。子供なんて苦労のタネさ」
4「落ち着いて、彼は少し興奮しすぎただけだ」 3「そりゃ興奮するさ!電気椅子送りが当然のやつだ。それが突然ぐらついた!なぜ無罪にした」
息子の写真を見ながら感傷に浸る実際の映像を観ればもっとわかりやすいかと思いますが、3番が被告人に自分の息子を重ね合わせている のは明らかです。3番はそれを隠そうともしていない。
劇中、INFPの8番と一触即発 の関係になります。
3「あらゆるインチキの中でもこれは傑作だよ。みんな正義の裁きを与えようと集まったのに、おとぎ話を聞いた途端涙もろい腰抜けになってさ。どうしたんだ!?奴は有罪だ、電気椅子さ!」 8「君は死刑執行人か?」 3「その一人だ」 8「君がスイッチを?」 3「入れてやるさ」 8「よくそんな気持ちになれるもんだ。社会の復讐者を気取っているのか。個人的な憎しみで殺したいのか。サディストだ」 3「放せ、殺してやる!」
ここで衝突関係 (参照 )というものを取り上げましょう。これはお互い使用する心理機能は同じですが、使う順番が全く逆という関係性になります。「衝突」という名前通り、何かと火花が飛び散りやすい関係です。
MBTIというのは…理念として「相互理解」が掲げられがちなものだと思いますが、これは「人と人は分かり合える」ことが暗黙の前提になっているように思います。しかしタイプをよく理解すればするほど、絶望的にまで住む世界が異なる人間がいることを認識せざるを得ず、「人と人は分かり合えない」と結論付けたくなるケースもあります。
個人の自由を尊重し、大人が手本を見せられていないから子供が駄目になるんだと主張するリベラリストのINFPと、共同体形成に尽力してきた先人たちに敬意を払い、大人としての義務を果たすことを一義とする封建的なESTJ、合うわけがありません。
INFJの時に自分を犠牲にしてまで実現しようとするユートピアは、狩人であるESTPが突きつけるリアリズムによって瓦解しかねません。
シリアスな状況になればなるほどふざけるINTPを、常識的なマナー意識を持つESFJが目を光らせないわけがありません。
個人的な報酬に駆動されるISFPは、ENTJの支配的全体最適化の視座を理解することは困難でしょう。
相手の主張を受け入れることが自己の存在否定になってしまいます。お互いがお互いの急所を突くことが容易にできてしまい、他意なしの自分の意見が相手の批判になっていることも少なくありません。お互いが自分の劣等機能を呼吸のごとく当たり前に使っており、見ているとイライラしてしまいます。自分の経験から言うことですが、この対極の存在から学べることも確かにあります。しかし相当な痛みを伴うものです。お互いが相当に成熟していない限り穏健な関係を結ぶことは難しい。
それでも私はこの関係に価値を置きたいと思います。異なる価値観の激しいぶつかり合いに、人間のドラマを見出さずにはいられないからです。私は衝突関係の人間から礼を言われたことがありますが、不思議な感覚がありました。
3番は最後の最後に取った「ある行為」によって被告の無罪を認めます。ある意味での精神的敗北ですが、ようやく劣等機能と和解した魂の成長のシーンとも取れます。3番のタイピングは、ここまで述べたのですからもうを論を俟たないでしょう。ESTJ です。
3番ESTJ。被告人に自分の息子を重ね合わせる。
3番は頑なに判断を変えようとしない狷介な人物として描かれますが、個人評を言えば(もっともこのブログのすべてが個人評だが)私はあまり3番を悪い人間だとは思えません。アンビバレントな感情を抱える姿に”人間”味を感じるからです。同じTであってもここがNTとはちがうところです※ 。
※「STは人の心を持ったロボット」
息子への愛はあると思います。ただその表現が不器用というだけです。
エンディングまで迎えた後もう一度映画を振り返ってみれば、3番は自分を欺いていたことがわかります。遥か地平の彼方で脈動している、劣等機能への遠さよ。そこに辿り着くまでの道程で、私たちはいくつの挫折を経験するのか。
3「俺には何の個人的感情もない」
以上、十二人の怒れる男たちのタイピングでした。